森の学校ラジオ

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2013年09月07日

人のすべてを診る、あたたかい「手当て」

ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会 代表、医師、気功師
名知仁子さん

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 いつも、にこにこ、元気で楽しそう。小柄な体に荷物をいっぱい抱えて、あっちへ赴き、こっちへ駆けつけ、途上国の窮状を伝えたり、自分で治す力・気功を広めたり、日々、忙しく奔走している名知さん。じつは、ちょっと、方向音痴でおっちょこちょいだったりもします。
 年に数度はミャンマーへ。ひとたび現地に入れば1ヶ月あまり、苛烈な環境の農村部を巡り、聴診器1本で、さまざまな病を抱えた人々と向き合います。徒歩3時間以上という遠くからも集まって来る患者さんが、連日100人を越えて並ぶこともあるとか。きっと、苦難の多い、大変な活動だと思うのですが、お会いするといつも、明るく強い笑顔で、大変なエピソードの数々を話してくれます。

 ミャンマーの農村部。医療が存在せず、保健衛生の観念も行き届いていない、マラリアと栄養不良で多くの人々が命を失う地域。トイレがなく、安全できれいな水もなかなか手に入らない。そんな地域を移動診療で回りながら、現在、名知さんは、とりわけ状況の厳しい2つの地域で、菜園を併設したクリニックの設立を目指しています。計画の提案資料には、井戸からきれいな水が流れ、子どもや村の人々が集まる学校と広い菜園があり、一隅にクリニックが描かれたイメージ図。その地域に医療を提供するだけではなく、保健衛生の大切さを教え、栄養を摂るための野菜をつくり、自立循環型の健康維持基盤をつくる取組みなのです。

 発想の原点には、長年携わってきた国際医療の現場で見た、貧困地域の厳しい現状があります。2002年に「国境なき医師団」に参加。以来ずっと、戦争や大規模災害で難民となった人々への緊急医療援助や、途上国での支援を続けて来ました。何度治療しても、次に訪れると、また病を抱えて診療所にやって来る。そんな人々の様子から、「その場で施す治療だけではなく、栄養失調と病気という負の連鎖を断ち切らなければ、問題の解決には至らない」と、名知さんは認識されたそうです。

 「人間をまるごと受け止めて、真摯に向き合う」。
 自らも癌を患い、手術、抗がん剤や放射線治療、辛いはずの闘病を押して、国際医療援助を続ける。国内で医師として活動していれば難なく安定できる立場を擲って、簡単には改善しえない、途方もない困難に挑む。毎日、その日できることを積み重ねながら、一歩ずつ進む。迷うことなく、進み続ける。力みなく、やわらかなくらいに、その進路への強い確信を感じさせる名知さん、いつも、にこにこ笑いながら、苦難のエピソードの終わりに言う言葉は、
 「楽しいですよ」。

 ......すてきです。

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ミャンマー ファミリー・クリニックと菜園の会

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